糖質制限は本当にダイエットに良いの?
近年では、ダイエットと言えば”糖質制限”とすぐに思い浮かぶ位、糖質制限が広く知られ多くの人が取り入れていますね。
"糖質を制限したら痩せそう” |
”糖質は身体に悪いから” |
そんなイメージから、なんとなくごはんやパンなどの主食を抜いていませんか?糖質制限をしているのに痩せない、身体の不調を感じる、そんな悩みを抱えていたら、注意が必要です。
そもそも、糖質制限は本当にダイエットに効果があるのでしょうか?
糖質制限ダイエットでは、主にごはんやパン、麺などの炭水化物を摂取せず、たんぱく質や脂質からエネルギーを摂取します。厳しく制限をかける人だと、野菜などに含まれる糖質まで制限したりも。 (この時糖質制限により、身体にとって必要な食物繊維まで制限してしまっている場合も……)
しかし、たとえ糖質を抜いても、1日に必要なエネルギー量※1は変わらないため、足りない分をたんぱく質か脂質から補う必要があります。
※1年齢や基礎代謝、身体活動量により個人差はありますが、1日に必要なエネルギー量は成人女性で1,650~2,300kcal/日程度≒約2,000kcal/日前後。
(日本人の食事摂取基準2015年版、推定エネルギー必要量参考値より。)
各種栄養素をバランスよく摂取するための指標の1つに、「PFC比率」(エネルギー産生栄養素バランス)というものがありますが、3大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)のそれぞれの目標割合は以下の通りとなっています。
P:たんぱく質 …13~20% | |
F:脂質 …20~30% | |
C:炭水化物 …50~65% |
これは食事全体のエネルギーの5割〜6割程度を、炭水化物から摂るのが理想だということを示しています。 そして、1日に必要なエネルギー量を約2,000kcalと仮定すると、カロリー換算で1,000〜1,300kcalは炭水化物から摂るのが望ましいと分かります。
しかし、糖質制限ではこの1,000〜1,300kcal分を、たんぱく質や脂質から摂取しなければなりません。 すると必然的に高脂肪・高たんぱくの食事に偏るため、身体へ悪影響が出る可能性があるのです。
糖質制限が身体にもたらす危険性
このように糖質制限によって高脂肪・高たんぱくの食事に偏ると、それを体内で燃やすためのビタミンやミネラルが不足し、代謝異常を起こしやすくなります。すると燃え残りが生じ、体内に過剰な脂質が蓄積されたり、血管中に悪玉コレステロールが溜まることにより、動脈硬化などの血管トラブルに繋がる恐れも。
そして、糖質を抜いた分のエネルギーは他から補う必要がありますが、それが十分に補えないと、人間の身体は自分のたんぱく質を分解してエネルギーに作り変え始めます。 すると体内の筋肉量が減るため基礎代謝が低下し、余計に太りやすい体質を作る原因にもなってしまうのです。
また、たんぱく質を過剰に摂取する生活を長く続けることで、肝臓や腎臓への負担が大きくなり、将来的に機能障害が出る可能性も否めません。
肝臓は様々な栄養素の代謝を行ったり、アルコールの代謝や解毒を行う場所でもあります。腎臓は解毒したものを尿として作り出し、排泄するなどのとても重要な働きをしています。
どちらも人間の身体にとって欠かすことの出来ない存在です。
そして糖質制限によりよくみられるのが低血糖症状。糖質を体内で分解して出来るブドウ糖を、脳はエネルギー源の1つとして使っています。
そのため糖質があまりにも不足すると、頭痛や思考・判断力の低下を起こしたり、交感神経・副交感神経の異常による眠気、動悸、ふるえ、異常な発汗、体のだるさ、うつ傾向・無気力などの症状が出ることもあります。
もし今あなたが糖質制限をしていて、これらがあまりにも続く場合には低血糖状態に陥っている可能性も。
このように、無理な糖質制限を続けることによる身体への悪影響には様々なものがあり、決して危険性を見逃すことは出来ません。理想の身体を手に入れるためにダイエットを頑張っているのに、大切な身体を壊してしまったら、せっかくの努力も水の泡ですよね。
糖質を抜くのはもうやめて、しっかりと食べながら健康的にダイエットを行いませんか?
糖質を抜かなくてもダイエットはできる!
では糖質を抜かずにダイエットするにはどうしたら良いのでしょうか。 ここでは4つの方法を紹介します。
1.食べ合わせで太りにくい食事に
しっかりと食べながらダイエットをするのに有効な方法として、食べ合わせを考えて食品を摂取するという方法があります。
食べ合わせを考える際に使える指標のひとつに、 「GI」(グリセミック・インデックス)というものがあります。
GIは“食品を摂取した後にどれだけ血糖値を上げるか”という目安で、0に近いほど血糖値を上げにくく、100に近いほど血糖値を上げやすいというものです。
砂糖類、食パン、うどん、白米などの”精製された炭水化物”は比較的GIが100に近くなります。
血糖値が急上昇するような食事の仕方をすると、血糖値を元に戻そうとして「インスリン」(別名:肥満ホルモン)というホルモンが働くため、血中にある糖分を細胞内に取り込んで、脂肪として溜め込もうとします。
そのため、GIにより食べ合わせを変えることで血糖値の上昇を緩やかにすることが、太りにくい食事への近道なんです。
GI55以下の低GI食品には、大豆製品、野菜、海藻、きのこ、果物などがあります。 肉、魚などのたんぱく質源も比較的GIが低いです。 高GI食品を摂る時でも、これらの食品を一緒に食べることで血糖値を上がりにくくすることが出来ます。
また、これらの低GI食品は和食によく使われる食材でもありますよね。 昔ながらの日本の一汁三菜の食事は、健康や美容にとって欠かせないものなのです。
2.摂取する糖質の種類を変える
ここまでGIについてお伝えしてきましたが、食品の食べ合わせだけでなく高GIの糖質を低GIのものに代替する方法もあります。食事の際に迷ったら、以下の例のように低GI食品に変えてみてはいかがでしょうか。
例) | |
<高GI食品→低GI食品> | |
白米 →雑穀米、玄米 | |
白パン →全粒粉パン | |
うどん →そば | |
白砂糖 →はちみつ、メープルシロップ |
精製された糖質が血糖値を上げやすいのは前述の通りですが、反対に雑穀や玄米、胚芽米、全粒粉、そばなどには身体に必要なミネラルが含まれているので、むしろ積極的に摂りたいものです。
3.糖質を代謝するビタミンを補給する
糖質を摂取していても、それを体内で代謝してエネルギーとして利用することができれば 身体につきにくくなります。
糖質の代謝を助ける栄養素には「ビタミンB1」があり、 豚肉や大豆製品、穀類などに多く含まれています。